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ぬか漬けの作り方

初心者にぴったりの熟成ぬか床セット

おいしいぬか漬けを食べるには、ぬか床の材料を用意してかき混ぜ、1週間ほど寝かして熟成させて……とわりあい手間がかかるもの。

興味はあるけれどなんだか面倒、すぐ食べたいし、というのなら、スーパーの野菜コーナーでぬか漬けを買ってくるのが、いちばん手っとり早い方法だろう。

しかしああいうものには、高確率で食品添加物が入っている。実際、家の近所の4軒のスーパーマーケットで、アリンコのように小さい原材料表示の文字をためつすがめつ確認したところ、じつに3軒で「アミノ酸」(化学調味料だ)の文字を発見。「pH調整剤」入りのものもあった。

こうなると、せっかくの健康食品も形なし台なしである。

そこで健康志向の物ぐさ諸氏におすすめなのが、熟成ずみのぬか床である。ぬか漬けが手軽に手づくりできるもので、「ぬか床の材料」でもいくつか紹介しているが、ここでピックアップする「国産熟成ぬか床セット」はもっと楽ちん。

国産熟成ぬか床セットは、初心者向け

国産熟成ぬか床セット

容器さえ必要なく、買ったその日に野菜を漬けこみ、翌日には食卓にならんでいるという造作のなさ。「あたし、物ぐさなうえに飽き性やからね。続けられるかどうか自信があらへんのや」なんていう御仁にはうってつけだ。

原材料はむろん、すべて国産だ。

「混合ぬか」にはぬか床づくりに必要なもの(米ぬか、塩、昆布、しいたけ、唐辛子)が一式入っており、これに「天然酵母」がついてくる。この天然酵母を投入することで、ふつうのぬか床の240倍ほどの酵母密度となる。だから捨て漬けなしでも、すぐ漬け物ができあがるという仕掛け。

ひとつ欠点を挙げるなら、1か月しか使えないところかもしれない(説明文にそう書いてある)。

たぶん毎日野菜を漬けていると、ぬかの量が減ってくるからだろう。足しぬかをしてやれば2か月でも3か月でも使えそうだが、1か月もきちんとぬか床の世話ができたのならもう自信をもっていい。そのときこそ、ぬか床専用容器を導入する好機到来である。

その折、このぬか床をそのまま新しい容器へ移動させてやれば、ぬか床をイチから育てる手間もいらぬ。

国産熟成ぬか床セットの使い方

 
というわけで、「国産熟成ぬか床セット」の使い方というか、漬け方をざっと解説しておく。

用意するのは、たったこれだけ。

  • 国産熟成ぬか床セット
  • 水250ml
袋へ混合ぬかと水を入れる 混合ぬかを水と混ぜあわせる
1.専用のジッパー袋(同梱)に混合ぬか(炒りぬか、塩、こんぶ、しいたけ、唐辛子のセット300g)と水250mlを入れてやる。 2.混ぜあわせる。米ぬかのこうばしいにおいを堪能。袋の口を開放して混ぜていたら、空気とともにぬかがぶわっと噴出。注意されたし。
天然酵母を投入 野菜を入れる
3.みかんを食べて育った天然酵母を追加。さらにもむ。マフィンのような甘い香りがしたので、欲求にあらがえずちょっと口に入れてみた。もちろんマフィンではなかった。 4.野菜を入れ、ぬか床に埋める。空気を抜いて、ジッパーを閉じる。最後まで直接ぬか床を触らずにすむ。手が汚れない。においもつかない。わたしにはちょっと物足りない。
漬けた日を時間をシールにメモ ぬか床を冷蔵庫へ入れる
5.付属のシールに野菜の名と現在の日時を記入。何の野菜がどの程度の時間で好みの浸かり具合になるかがわかる。 6.冷蔵庫に入れる。1日も待てば、ぬか漬けができあがる。野菜によって漬け方や漬け時間が変わる。「野菜別の漬け方」を参考に。

このセットで漬けたぬか漬けの味

ぬか漬けのできあがり

カブとニンジンとオクラを漬けてみたら、狼狽するほどにうまかった。

じつはいま、長年苦楽をともにしてきたぬか床(タッパーで育てているやつ)の風味がかつてないほど落ちている。この夏、水練や山ごもりのため、あちこちの海や山をひんぱんに行脚し、家を空けることが多かったためである。ぬか床を数日間ほっぽらかすことも多かったのだ。

そのせいで、ヤツはへそを曲げている。しかもやっかいなことに、一度機嫌を損ねるとなかなかもとに戻らぬという、わたしに似た性分なンである。

そんなわけで「国産熟成ぬか床セット」で漬けたもののほうが、現状では美味なのだ。そっちを食卓に置くと、家族は「おいしいお漬け物をどうもありがとう」などといいながら、先を争っては箸を伸ばしている。

その様子を見ながら、わたしは苦笑いを浮かべている。タッパーのぬか床がいよいよふてくされたらどうしよう、と内心おだやかではないのだ。

とにかく、ぬか漬けの手づくりに興味があるが、最初の一歩が踏みだせない、というのなら、このキットを利用されたい。あるいは何度か挑戦したけれど、手入れ不足などでいつも失敗してしまう、というひとにも向いている。1か月ごとに新しいものと交換するのが前提であれば、ぬか床をダメにしても精神的ダメージは少ないだろう。

なお、このセットのぬかの量を考えると、1回に漬けられる野菜は多くても上の写真の倍くらいであることを最後につけくわえておく。

ぬか漬けセット記事へのリンク


最高のぬか床をつくる、匠の技

我が家のぬか床

できたてほやほやのぬか床は “捨て漬け” を経て、1週間後には本漬けが可能となる。

けれども、ぬか床が本物のぬか床へと熟成するまでには、じつに半年以上かかるというのが通説。乳酸菌がしっかりと定着、繁殖し、われわれがぬか漬けに期待する効果――健康機能を100%享受できるようになるまでには、気の遠くなる月日が必要なのだ。

それまでは、ぬか漬けといえども、単なる塩漬けのようなもンである。

しかも、そうやって半年が経過しても、自分ちのぬか床にどんな乳酸菌がどのくらい繁殖しているかは誰にもわからない。ぬか床の乳酸菌は、野菜についている種々の菌が各家庭の条件によって繁殖したりしなかったりするからである。

へたを打つと、雑菌や腐敗菌が繁殖する可能性もある。現に、ぬか床がぐずぐすとなり、うまく熟成することなくお蔵入りするといったケースも少なくはない。

が、ぬか床内の乳酸菌の生育具合をわれわれ人間がコントロールする手立てもなくはない。

繁殖させたい菌をあらかじめ、ぬか床へドッカンと植えつけてやるのである。そうすれば、熟成までの期間も短縮できる。手練れの業である。事実、プロの漬け物屋にはこんなことをこっそりおこなっているところも少なくはない。

漬け物屋の裏技をこっそり伝授

 

この際、こだわるべきなのは、菌の種類。

ぬか床と相性のよくない菌(ヨーグルトやチーズなどの乳酸菌)をぬか床で繁殖させようとしても当然ながらうまくいかない。

それに、できるかぎりからだにいい菌を選びたいところでもある。

こうした条件を満たすのが、次の4つの菌だ。

ラブレ菌(ラクトバチルス・ブレビス)

京漬物からみつかった菌。腸内に定着し、腸内細菌バランスを整える作用がある。免疫力を高める。ガンの抑制効果も期待できる。最近、にわかに注目を集めている。

ラクトバチルス・プランタルム

漬け物(ぬか漬けなど)、キムチ、ピクルスの発酵に用いられる菌。さわやかな酸味をかもしだす。

テトラジェノコッカス・ハロフィルス

味噌に多く含まれる菌。ガンの抑制効果があるという説もある。

ペデイオコッカス・ペントサセウス

ピクルスやキムチに多く棲んでいる菌。野菜のあくとえぐみを中和してくれる。善玉菌を増やす働きがある。

 

いずれもぬか床に定着しやすい植物性乳酸菌。こうした菌を植えつけてやれば、ぬか床はすくすく成長してくれる。

注意したいのは、加熱処理されていない、生のキムチやピクルス、味噌でないと意味がない点。スーパーの陳列棚にならんでいるものは論外。生きた菌がいない。漬け物屋は乾燥菌を業者から買っていると聞くが、われわれ素人には入手経路もわからない。

そんななか注目なのが、ラブレ菌。伝統的な京漬物「すぐき漬け」から見つかった菌で、

  • 植物性だからぬか床と相性抜群。
  • ほかの乳酸菌とくらべて腸内に定着する率が異常に高い。
  • 悪玉菌の増殖を抑え、腸内環境を強力に整える。
  • 免疫力アップに役立つ。

など、じつに高い健康機能を誇るのだ。健康増進、疾病の改善、腸内環境の健全化などを目的にぬか漬けを食するのなら、ラブレ菌は見逃せない。

しかも生きた菌が手に入る。

※ラブレ菌のことをくわしく知りたいなら「すぐき菌」か「ラブレ」で検索してみるといい。すぐき漬けの老舗「京都なり田」のホームページも勉強になる。

ラブレ菌を手に入れる方法

 

すぐき漬けの製造元から菌を分けてもらうのは難しいだろう。ところが、調べてみるとうれしいことにラブレの生菌はわりあい簡単に調達が可能。

ラブレ菌といえば、カゴメの乳酸菌飲料「植物性乳酸菌ラブレ」(以下、ラブレ飲料)が有名どころ。ただ、これは1本あたりの菌数10億~(100ml)。熟成ぬか床の菌数は1gあたり10億といわれているからして、どうにも心もとない。

かといって、ラブレ飲料をぬか床へ何本も入れるわけにはいかない。水びたしになる。

そこで目をつけたのはサプリメント。

いろいろ探してみつけたのがこれ。1袋に140億ものラブレ菌を詰めこんでいる。ラブレ飲料14本分。お試し版で安いのがいい。懐が痛まない。ラブレ飲料をぬか床に半分入れただけで、漬け物の風味がぐっとよくなったという声もあるから、これで十分だろう。

ラブレ菌をほうりこんでからというもの、わが家のぬか床はめきめき香りがよくなって、野菜のうまみもぐんと増した。

一家そろって毎朝ドッカン。今日も快便快腸。元気はつらつなンである。

ぬか漬けセット記事へのリンク


ぬか床の手入れ

我が家のぬか床

新床を立ちあげてから半年――。ぬか床が一人前になるまでの期間である。

一人前、というのは、ティースプーンでぬか床をすくいあげたら、そこに100億ほどの乳酸菌が蠢(うごめ)いている状態のこと。

食べ物といっても、ここまでくると、もはや “飼育” だ。手入れ方法というより、 “飼い方” といったほうがなんだか腹に落ちる感じがする。

というわけで、ぬか床の飼い方をご説明。

1.ぬか床に快適な室温を保つ

 

ぬか床が快適に過ごせる気温は、われわれ人間と同じ。20~25度くらい。このくらいの室温の、直射日光のあたらない部屋に置いてやるといい。

娘とぬか床夏場は、クーラーの効いた部屋をぬか床が転々とする羽目になる。昼間は居室でテレビを見ていて、夜になると家族といっしょにベッドルームへ移動、なんてことになる。

室温30度を超えたら、熱中症の心配だって出てくる。40度を超すと死んでしまうヤツもいる。

人間のように夏バテしてのびるわけでなく、高温で異常増殖、異常発酵するのである。こうなると、漬け物の風味がガクンと落ちる。元気余ってまずさ100倍、といったところか。

ウナギを食べさせてももとには戻らない。国産天然ものでもダメだ。

こうした事態を避けるため、暑い日は冷蔵庫に入れることをおすすめする。

2.1日1回はかきまぜる

 

1日1回、ぬか床全体を底からまんべんなくかきまぜてやる。これ、基本。

漬け物をとりだしたときも、さっと軽くかきまぜてやるといい。

ぬか床の正しいかきまぜ方

  1. ぬか床の上部と下部をごっそり入れ替える感じでかきまぜる。
  2. ただし、かきまぜすぎない。乳酸菌の働きが悪くなる。
  3. ぬか床の表面を押したり叩いたりして、内部の空気を抜く。
  4. 容器の縁についているぬかはやさしくふきとって。清潔をキープ。

ぬか床の縁を拭く

ぬか床を毎日かきまぜるのは、乳酸菌と酵母、酪酸菌など微生物のバランスを最適に保つため。乳酸菌は空気がなくても生きていけるし増殖もできるけれど、空気がない環境だとより活発に増える。酪酸菌は空気を嫌うので、乳酸菌同様、空気のない環境で活発に増える。酵母は空気を好む。

だから、毎日かきまぜていないと、異常発酵が起こり、

  • 乳酸菌が増えすぎて、酸味がきつくなる。
  • 酪酸菌が増えすぎて、高校球児の靴下みたいな臭いが発生。
  • 酵母が増えすぎて、表面にびっしりと白い膜を張る。

といったような事態が発生する。

こうなると、もとに戻すのにたいそう骨が折れるのだ。

わが家のぬか床にも、酵母が膜を張ったことがある。発見したのは妻だ。「ぬか床に白いものがびっしり……」という妻の声を聞き、電流を流されたカエルのようにわたしは飛び起きた。一目散にぬか床のもとへ。ギョッとした。どうみてもカビであった。

産膜酵母が張ったぬか床

(注)むろん、カビではなかった。産膜酵母という、ぬか床の常在菌の一種。増えすぎると風味をそこなう。白い部分をごっそり除去するか、毎日きちんとかきまぜていれば、そのうちもとに戻る。写真右は、産膜酵母が張ったぬか床。左は普通の状態。

ぬか床と暮らし始めると、帰省も旅行もできないのか?

そんなことはない。3~4日ほど草津に行ってくる、というのなら、冷蔵庫に入れておけばOK。ぬか床の活動がゆるやかになって、それくらいはもつ。

1~2週間くらいカンボジアで地雷撤去してくる、というのなら、冷凍庫に入れておけばOKだ。ぬか床はコールドスリープに入る。無事帰宅できたら、自然解凍でOK。ぬか床は息を吹き返す。

3.香りと味をチェックする

 

ぬか床をかきまぜるとき、ついでに香りと味をチェックしよう。酸味は適度か(酸味は、乳酸菌がつくる乳酸で、菌が元気なあかし)、刺激臭や腐敗臭がないかどうかなどを鼻と舌で確認する。

ぬか床の健康状態に問題があるようなら、早めに手を打とう。

以下は、症状に応じた処方箋。

すっぱい

酸味の正体は乳酸。そして、乳酸は乳酸菌がつくりだすものだ。ぬか床やぬか漬けがすっぱいのは、ぬか床が元気な証拠。足しぬかで、一件落着である。

※足しぬか……ぬかと水、塩を10:10:1の割合でぬか床へ入れ、よくかきまぜる。

水っぽい

水分が多いと、腐敗臭がすることも。これも足しぬかで解決。すぐおさまる。

漬かりが遅い

塩をこまめに足してやればOKだ。すぐなおる。

おいしくない

うまみ増進材料が不足している可能性大。昆布や煮干し、かつお節、干ししいたけなどを入れる。

薬品臭、シンナー臭がする

かきまぜ不足か塩不足が原因で、乳酸菌以外の菌(産膜酵母)が増えすぎている。毎日しっかりかきまぜて。ぬか床を食べてみて塩分が弱いと感じたら、塩を足すのを忘れずに。いったん野菜を漬けるのは中止。なお、産膜酵母は人畜無害。

お父さんの靴下のにおいがする

これもかきまぜ不足。ぬか床の底部で、酪酸菌が異常増殖している。毎日きちんとかきまぜて。酪酸菌も無害、というより、乳酸菌を増やしてくれる有益な菌。

刺激臭がある

鼻にツンとくる匂いがあるときは水分が不足している。水を足せばOKだ。

いろいろ手を打ってもなお味が悪いなら?

「まずい、おいしくない、味が悪い、なぜ?」の記事をとくとご覧じろ。

ぬか侍からのアドバイス

 

なにが起ころうとも、うろたえる必要はない。

ノーベル賞作家の大江健三郎氏もこういっている。

――もう取り返しがつかない、ということはない。いつも、なんとか取り返すことができる、というのは、人間の世界の「原則」なのです。
ぬか漬けセット記事へのリンク


捨て漬けの方法

捨て漬け

熟成ぬか床をだれかか分けてもらったり、熟成ずみの乾燥ぬかを使ったりして新床をつくる場合をのぞき、新しいぬか床には熟成期間が必要となる。

クズ野菜を漬けて、乳酸菌や酵母、酪酸菌などの微生物を増やし、新床の発酵をうながすための時間だ。この間、ぬか床はぬかや昆布などのうまみも吸収していく。

これを「捨て漬け」という。

捨て漬けの方法

 

捨て漬けの期間は約1週間

この期間は朝晩の毎日2回、ぬか床をかきまぜる。捨て漬けした野菜は3~4日で引きあげて、新しいクズ野菜とチェンジ。このとき、古い野菜についているぬかはていねいにこぞぎとってぬか床へ戻し、野菜の汁もぎゅっと絞ってぬか床へ戻してやる。

 

捨て漬け向きの野菜

kyabetsu_cabbage daikon_radish ninjin_carrot hakusai vegetable_celery

捨て漬けに使う野菜は、キャベツの外側の葉っぱや切れ端大根の頭やしっぽ、皮人参の皮などが望ましい。

小松菜やほうれん草、青梗菜、ピーマンなど、冷蔵庫の野菜室にあるものならたいてい使える。食べられる部分を使ってももちろんOK。しょっぱすぎて食べられなくなるだけ。

 

捨て漬けに不向きな野菜

トマト タマネギ なすび vegetable_nira jagaimo_poteto

捨て漬けに向かない野菜もある。

トマトタマネギなどはそもそもぬか漬けに適さないからやめておこう。なすびはぬか漬けの代名詞だが、捨て漬けには不向きだ。あくが強いからである。

同様の理由で、春菊ニラじゃがいも里芋ごぼうなども捨て漬けに使うのはよしたほうがいい。

捨て漬けは2回でおしまい

捨て漬けを2回おこなったら、いよいよ本漬けだ。

ただし、覚えておきたいのは、新床が完全に熟成し、乳酸菌の密度がピークに達するまでには半年くらいかかるということ。それまで根気よく手入れし、ぬか床を育てていくのだ、という気構えが大切。

完全熟成したぬか床には、1gあたり10億個もの乳酸菌が棲むという。

冬場はぬか床づくりに適さない

 

寒い時期は、新床づくりに向かない。いくら捨て漬けをがんばっても、乳酸菌がなかなか増えていかないからだ。

ぬか床の発酵にちょうどいい温度は、20~25度。気温がそれ以上なら発酵期間は短くなるし、それ以下なら長くなる。

冬場にぬか床をはじめようというなら、熟成ぬか床をだれかから分けてもらうか、熟成ずみの市販ぬかを利用するのが得策である。

新床づくりは、春から秋がベストシーズンと心得たし。

ぬか漬けセット記事へのリンク


ぬか床の材料

ぬか床の材料――生ぬか、水、塩、昆布、唐辛子

ぬか床づくりに必要な材料をおおまかに分けると、この2種類。

  • 必須材料……米ぬか、塩、水、昆布、唐辛子
  • うまみ増進材料……かつお節、いりこ、実山椒、からし粉、ゆずの皮など

まずは必須材料から。

新床の必須材料(ぬか床4kg分)

  • 米ぬか……2kg
  • 塩……200g(ぬかの10%)
  • 水……2kg(2L)
  • 昆布……15X10cmを2本ほど
  • 赤唐辛子……5本

この分量だと、きゅうり3本とにんじん1本くらいなら余裕で漬けられる。3~4人が毎日たらふくぬか漬けを堪能できるだろう。

朝夕、数切れの漬け物を箸休め程度に供するだけでいい、というのなら、この半分くらいでもいい。

生ぬかと炒りぬかの選び方

 

米ぬかには、生のものと炒ったものがある。それぞれの特徴は、

生ぬか 炒りぬか
生ぬか 炒りぬか
発酵しやすく、栄養分も炒りぬかより豊富。新鮮なものは風味抜群。ただし、酸化しやすいので、精米後3日以内のものを入手したい。
火を通してあるから、芳ばしい香りがする。雑菌も繁殖しにくく、酸化しづらい。だから長期保存に向く。発酵しづらいのが難点。

基本は生ぬかだ。炒りぬかは足しぬか用に向く。保存がきくからだ。

生ぬかは、新鮮で品質のいいものを選ぼう。無農薬なら最高だろう。無農薬の生ぬかはそのまま食べてもうまいそうだ。ほんのりと甘く、きな粉のような風味が楽しめるという。わたしはまだ味わったことがないが。

無農薬の生ぬかをゲットする3つの方法

  • 無農薬栽培をしている農家から直接買いつける。
  • 無農薬米を扱っている米屋から買う。
  • ネットで買う。
無農薬の生ぬか ネット通信で買える「ぬかの素」。無農薬の生ぬかに、昆布や椎茸、実山椒、かつお節、米麹、トマト、酒粕などをくわえて熟成させ、それを乾燥させたもの(熟成ぬか床)。捨て漬け不要。水を足すだけですぐ使える。1600円前後。ひと袋で1.2kgのぬか床ができる。

 

熟成ぬか床があると時短になって楽ちん

もし知り合いがぬか床を持っているなら、ちょっと分けてもらうのはかしこいやり方。そいつをベースにして新床をつくれば、捨て漬けいらず。今日からでもぬか漬けが味わえる。

熟成ぬか床と生ぬかを使って新床をつくる場合は、材料の配合はこんなふうになる。

新床の必須材料(熟成ぬか床がある場合)

  • 生ぬか……1kg
  • 熟成ぬか床……1kg
  • 塩……100g
  • 水……1kg(1L)
  • 昆布……15X10cmを1本ほど
  • 唐辛子……2~3本

なお、都会に暮らしていると、新鮮な生ぬかがなかなか手に入りづらい。だから、じつはわが家も熟成ぬか床(乾燥)を使っている。

わが家の御用達はこれ。

河村さんちの鉄粉ぬか床

原材料は、国産米ぬか、食塩、昆布、唐辛子、乾燥しいたけ荒粉末、からし粉、食用卵殻粉、鉄粉。ぬか床の必須材料がワンセットになっているスグレものなのだ。しかも熟成ずみ。熟成させて乾燥させてあるから、同量の水と混ぜあわせるだけで、すぐに野菜が漬けられる。ひと袋が2kgのぬか床に化ける。

Amazonで人気ナンバーワン。都会暮らしのあなたにも、捨て漬けが面倒なあなたにもうってつけの一品。「河村さんちの鉄粉ぬか床」の名、覚えておいて損はない。

塩は粗塩(自然塩)を使う

 

粗塩塩は、精製塩(食塩)を使わず、粗塩(自然塩)を使おう。

精製塩は、素材の風味をそこなうからだ。料理にも同じことがいえるが、ミネラル分を削ぎ落とした精製塩を使ってつくると、とんがった味になる。

反対に、粗塩なら料理も漬け物もマイルドにしあがる。

塩と水はばらばらでOK? それとも塩水にする?

ぬか床づくりの際、塩水を事前に用意しておき、ほかの材料と混ぜあわせるという家庭もある。が、水と塩をばらばらにくわえてもさしたる問題はない。

お湯を沸かして、塩を溶かし、それをまた冷ます、というのが面倒でないならやってもいいが、わざわざそんな手間をかける必要はない。

水の代わりにだし汁を使う手も

昆布はぬか床の味のベースをつくる。新床をつくる際、水の代わりに昆布のだし汁を使う家庭もある。わたしの祖母などもカツオと昆布のだし汁を使っていたという。最初からうまみ成分(昆布のグルタミン酸)をぬか床に浸透させてやろうという魂胆である。

面倒でなければおすすめ。こっちはやるだけの値打ちあり。早い段階から、漬け物が風味豊かにしあがる。

だしをとったあとの昆布やかつお節は捨てないで。こまかく刻んでぬか床へ入れよう。

唐辛子は防腐剤、定期的に補充

 

唐辛子唐辛子もぬか床の味を引き締め、ととのえるのにひと役買っている。だが、本来の使命は、防腐効果や虫除け効果にある。

だから、ひと月に1回くらいは唐辛子を追加するとベター。このとき、古いものが目についたらとりのぞくのを忘れずに。

なお、唐辛子の入れ方については意見が分かれるところ。議論のポイントはこの2つ。

  1. そのまま入れるのか、刻むのか。
  2. 種は抜くのか、抜かぬのか。

どっちでもいい。

辛いのが苦手なら、種を抜いてまるごと放りこめばいいし、辛いのが好きなら、刻んで種ごと入れればいい。お好みでOK。

ただし、入れすぎに注意。発酵が進まなくなる。

ぬか床の味の決め手、うまみ増進材料

 

ここからはうまみ増進材料について。

うまみ増進材料は、各家庭のぬか床の味の決め手。なにを使うか、あるいはどのくらい入れるかで、漬け物の味ががらりと変わってくる。わが家も日々、試行錯誤している。

かつお節 煮干し(いりこ) 干ししいたけ
 かつお節  煮干し、いりこ  干ししいたけ
入れると、ぬか漬けが香り豊かに。下町のソウルフード、ぬか漬けがとっても上品な味わいに。
うまみ成分のイノシン酸が、昆布のグルタミン酸との相乗効果を発揮。ぬか床の味の土台に。
グアニル酸やグルタミン酸など複数のうま味成分が含まれており、複雑かつ奥深い味わいをかもす。
かんきつ類の皮 実山椒 からし粉
 みかん  実山椒  からし粉
風味づけと色づけに使用。ゆず皮をことこと煮て入れたり、みかんの皮を干して入れたりする。
ぬか床の香りがぐんとよくなる。サンショールという成分には防腐効果も見込める。高級食材。
防腐作用がある。乳酸菌や酵母の増殖を抑制する働きも。酸味を抑えるために使用したりする。

ぬか床のうまみを引き立ててくれる材料はまだまだある。

風味づけと殺菌力を期待して、にんにくや生姜を入れる人もいれば、乳酸菌の餌として魚のあらを入れる知り合いもいる。

ビールやビール酵母を入れると、酵母の働きで、ぬか床が元気になるし、ヨーグルトにも同じことがいえる。ヨーグルトの乳酸菌が、ぬか床を活性化させてくれるのだ。

思うに、ぬか床とは正解のない世界。味の箱庭だ。

だから、自由に冒険していいのだ。

このほか、ぬか床の質をぐっと高める方法もある。くわしくはこちら。

ぬか漬けセット記事へのリンク


おすすめの容器

ぬか床のおすすめ容器ぬか床を入れる容器は、琺瑯(ほうろう)製でもプラスチック製でもなんでもOKだ。瓶(かめ)や樽(たる)なんてのも、気分が盛りあがっていい。

ただし、この2つは必須条件。

  • 口が広い……毎日かきまぜるものだから、手をつっこみやすいものを。
  • 密閉できる……蓋がないと、カビや虫、雑菌がわきやすい。においも気になる。

サイズの目安は、こんなところ。

  • 1~3人……3リットル程度
  • 4~6人……6リットル程度

いろいろ検討した結果、わが家では最初、6リットルの容器を入手した。3人家族だが、大は小を兼ねるからだ。2キロ分の生ぬか(ぬか床としては4キロ程度)がちょうどいい按配におさまるサイズである。冷蔵庫の野菜室や冷凍室などにも問題なく収まる。

ぬか床4キロもいらぬ、という場合でも、6リットルがおすすめ。容器が小さいと野菜を漬けにくい。かきまぜにくい。のちのちぬか床を増量したくなっても、後の祭りだ。容器を買い換えなければならなくなる。

しつこいようだが、わたしは6リットルを推す。

あとから3リットルを買い足したが、やはりちょっと小さかったからだ。まあ、ひとり暮らしなら3リットルもありだが。

いずれにしろ、3リットル以下という選択肢はない。

おすすめのプラスチック容器

 

ぬか床を始めるに際し、わが家が検討したのはこの4つ。水取器のついたものもあるが、ぬか床に染みだしてきた水は抜く必要がない。あれは無用の長物だ。もし、なにがなんでも水を取りさりたくなったら、ぬか床の中央に穴を掘って、布巾を差しこみ、水分を染みこませればOKだ。

トンボ ぬか漬シール 朝市 リス『においの漏れにくいぬか漬けシール容器』 ぬか漬けシール容器 角5型 クリア
「トンボ ぬか漬シール 朝市」という、よくわからない名前の容器。3.5Lと6Lがあり、それぞれ700円と1100円くらい。リーズナブル。わが家のメイン容器はこの6Lだ。 「においの漏れにくいぬか漬けシール容器」。600円前後。これも格安。何リットルか不明。19.0×26.2×15.0cmということなので、5Lくらいか。
 ぬか漬け器「ぬか楽」  リス『においの漏れにくいぬか漬けシール容器』 ぬか漬けシール容器 深6型
 ぬか漬け器「ぬか楽」は、側面のハンドルでかきまぜができるしくみ。手が汚れないし、臭くならないというアイデア商品。5L容器なみにでかいが、ぬか床が1kg強しか入らないのは難点。ひとり暮らし向き。 「においの漏れにくいぬか漬けシール容器」のバケツタイプ。6.5L。1400円前後。漬けやすくて、かきまぜやすそうだが、高さが21cm以上あるから、冷蔵庫には収納しづらいかも。

おすすめのホーロー(ほうろう)容器

 

ホーロー製品は、プラスチック製にくらべると値が張るものの、質感のよさから、ぬか漬け愛好家のあいだでは定評がある。特有の色合いと光沢感にファンも多い。

そんなホーロー容器のなかでも、頭ひとつ抜きんでた人気を誇るのが、野田琺瑯という老舗がつくる「ぬか漬け美人」である。

野田琺瑯 ぬか漬け美人 TK-32 野田琺瑯 ぬか漬け美人L TK-58
「野田琺瑯のぬか漬け美人」は現在、Amazonのぬか漬け容器人気ランキング1位。2500円前後。3.2L。本体はホーロー製。蓋はプラスチック製。水取器つき。 「野田琺瑯のぬか漬け美人L」。4000円強。5.8L。蓋のみプラスチック製。水取器つき。本体重量1.2kgは、冷蔵保管する際に棚板が割れないかちょっと不安。
 パール金属 ストリーム ホーローストックポット20cm  富士ホーロー ホーロー容器
「パール金属 ストリーム ホーローストックポット20cm」は、5.8Lのホーロー製容器。蓋はプラスチックだ。1500円前後と、野田琺瑯のものからすればかなりお得。 「富士ホーロー ホーロー容器」は、直径20cm(取っ手込みだと29cm)、高さ22cm程度。6.4L。本体も蓋もホーロー製なのがうれしい。3400円前後。

文房具や時計など、毎日使用し、からだに直接触れるものは最高級のものを選ぶ。そうすることで、人間は本物の満足感、ぜいたく感にひたれるという。

ぬか床の容器も同じ。

毎日使うものだから、値段ばかりにとらわれず、納得のいく一品を選んでほしい。

ぬか漬けセット記事へのリンク


ぬか床の作り方

前置きは「ぬか漬けの作り方」に書いた。ここからは実践編だ。簡にして要を得るスタンスで解説していこう。

1.ぬか床を入れる容器を準備

 

なんでもいい。タッパーでもカメでもホーローでも。蓋で密閉できればOK。目安は、

  • ひとり暮らし、同棲、夫婦……3リットル程度
  • 4人家族……6リットル程度

大は小を兼ねる。3人家族のわが家は6リットルを常用。写真左が3リットルで、右は6リットル。

ぬか床容器、サイズ比較

ぬか床容器の選び方は、「おすすめのぬか漬け容器」にまとめている。

2.材料をそろえる

 

最低限必要なのは、米ぬかと水と塩、それと昆布、唐辛子。

新しくつくるぬか床の材料

以下の分量は、ぬか2kg、ぬか床なら4kg分。6リットルの容器にぴったりの量だ。あ、上写真はあくまでイメージ。ぬかや水、塩は以下の分量よりずっと少ないのでご注意。

新床に必要な材料(ぬか床4kg分)

  • 米ぬか……2kg
  • 塩……200g(ぬかの10%)
  • 水……2kg(2L)
  • 昆布……15X10cmを2本ほど
  • 赤唐辛子……5本
ぬか床の材料について詳しく知りたいなら、この記事「ぬか床の材料」を。

3.材料を混ぜあわせる

 

材料をそろえたら、ボールでよくこねる。

ボールへぬかを入れる ぬか床を混ぜあわせる
1.ぬか、ぬかと同量の水、10%の塩をボールへ入れる。 2.耳たぶくらいのやわらかさになるまで、全体をしっかり混ぜあわせる。
唐辛子と昆布をぬか床へ入れる。いりこも。 ぬか床容器へ移す
3.昆布と唐辛子を入れて軽くまぜる(かつお節や煮干しなどはお好みで)。 4.容器に移し、ぬか床を上から押して叩いて地ならしする。

ぬか床のかたさについては諸説ある。

  • 片手で握ったとき、水分が染みだすくらいのやわらかさ

という人もいれば、

  • 味噌くらいのかたさ

という人もいる。どっちでもいいと思うが、ぬか床は野菜を漬けているうちにどんどん水っぽくなってくる。だから、最初はかためがいいだろう。

というわけで、目安は、

  • 耳たぶかお味噌くらい

がベスト。

4.捨て漬け

 

できたばかりのぬか床では漬け物はつくれない。いらない野菜を使って、ぬか床を発酵させて、微生物を育ててやる必要がある。これが「捨て漬け」だ。

捨て漬けに要する期間は、1週間くらい。この間の漬け物は、単にしょっぱいだけのシロモノだから、普通はクズ野菜を使う。キャベツの外葉とか大根や人参のしっぽなどがベター。

捨て漬けの手順はこんな感じ。

  1. クズ野菜を入れて、1日2回かならずかきまぜる。
  2. 3~4日たったら、クズ野菜を入れ替える。
  3. これを2回繰り返したら、できあがり。

なお、市販の熟成ずみのぬかとか、他人から分けてもらったぬか床を使った場合、捨て漬けは不要。

捨て漬けについてもっと知りたいなら、「捨て漬けの方法」をご一読あれ。

なお、ぬか床の適温は20~25度30度を超えると、異常発酵する恐れがあるので、冷蔵庫に入れるか、クーラーの効いた部屋に置くかしよう。半面、冬場は発酵がなかなか進まない。つまり、ぬか床づくりには向かない。冬場に新床をつくるなら、熟成ぬか床をゲットしよう。

熟成を早め、質のいいぬか床に育てていきたいなら、こちらの記事にも目を通すといい。

5.本漬け

 

ぬか漬けというやつは、旬の食材をほぼナマでいただくものだから、野菜は新鮮であることが大前提。新鮮な野菜なら、たいていの野菜をぬか床は受け入れてくれる。まあ、なかにはしなびたくらいがちょうどいいものもあるが。

本漬けはこんな要領でおこなう。

ぬか床を掘る 野菜をつっこむ
1.ぬか床を掘り、野菜をつっこむ。 2.野菜を埋めたら、上からぬかをかぶせる。外から見えないように。
叩いて押してぬか床表面をならす 容器の蓋をして待つ
3.ぬか床を上から押したり叩いたりして、空気を抜き、表面をならす。 4.容器のふたをして、あとは待つのみ。

ポイントは、

  • 野菜同士がくっつかないようにすること。
  • 野菜をぬか床のなかに完全に沈めること。
  • ぬか床の空気をしっかり抜いてやること。
  • 最後に、ぬか床の表面を平らにすること。

乳酸菌は空気があってもなくても働くが、酸素がなければより活発。ぬか床の空気を抜くことで、よりよく発酵が進むわけ。最後に表面を地ならしするのは、空気との接触面を減らし、酸化を防ぐためである。

これで数時間後、遅くとも1~2日後にはうまいぬか漬けが味わえる。

6.ぬか漬けの取り出し方

 

ぬか漬けが最もうまいのは、ぬか床からひきあげてすぐ。とりだしたら、水道水でさっと洗って、切って、即刻「いただきまーす!」――こいつが基本である。

というわけで、

野菜をぬか床へ入れる時刻 = 食事開始時刻 - 漬け時間

という、“ぬか漬けの定理” を頭に入れておこう。

ぬか床の野菜をとりだす際は、ちょっとワクワク。取り出し方でも、ぬか漬けのおいしさは変わるもの。

  1. 野菜についているぬかは、しごいて容器へ戻す。
  2. さっと水洗い。ぬかの栄養分を落としすぎない。つまり洗いすぎない。
  3. 食べやすいサイズにカット。見た目も大切。料理は目で楽しむ。
  4. お皿に盛りつける。

見目よく盛りつけたぬか漬け

今夜のメインディッシュはぬか漬けだ。ぞんぶんに舌鼓を打とう。

7.毎日の手入れ

 

なるたけ毎日、野菜を漬けるようにしよう。ぬか床の発酵が進み、どんどんぬか漬けがおいしくなってくる。反対に、野菜を漬けないと、ぬか床の微生物は元気を失っていく。

うまい漬け物が漬けられるようになってきたら、ぬか床を1度そのまま食べてみることをおすすめする。そのときの味と香りを胸に刻むのだ。それが、わが家のぬか床の風味の基準となる。

ぬか床は毎日かきまぜるのが基本だが、それが面倒なら冷蔵庫に入れる手も。冷蔵庫内では、微生物の働きがにぶくなる。そのぶん、漬かるまでに時間がかかるが、かきまぜる回数も減らせる。

冷蔵庫内では?

漬かるまでの時間……いつもの倍

かきまぜる回数……いつもの半分

野菜を毎日漬けていると、ぬか床が水っぽくなったり、漬かりが悪くなったり、味が落ちてきたりするもの。そんなときは適切に対処してやれば、息を吹き返してくれる。

面倒に思えるが、リアルなRPG(ロールプレイングゲーム)のようであり、とても楽しい。

「おれってダメ人間」という無能感や、「おれってひとりぼっち」という孤独感に苛まれて身動きがとれなくなった深夜、ひとり寝床から這いだして、暗い台所でぬか床をかきまぜる。ひんやりとしたぬかの感触が心地よい。

ひとくち囓れば、余韻嫋々(じょうじょう)たる味わいを楽しませてくれる。

最近、わたしを励ましてくれるのはぬか床だ。妻ではない。

あわせて、この記事「ぬか床の手入れ」にも目を通しておいてほしい。
ぬか漬けセット記事へのリンク


ぬか漬けの作り方

ぬか床づくり

これからぬか漬けを初めてみよう、という人に向けて、まずは始め方のおおまかな流れを説明しよう。さらっと読むだけでOK。雰囲気をつかみ、モチベーションアップ。これならやれそうだ、やってみようかしらん、となったら、すぐにでも始めてみてほしい。

なにやら難しそう、と躊躇(ちゅうちょ)している方、じつはわたしもそうだったが、やってみるとことのほか簡単。しかも楽しいもンである。

1.準備

 

最初に絶対必要なのが、

  • ぬか
  • 昆布のだし汁(水と昆布でもOK)
  • 唐辛子

ここへ、かつお節やいりこ、干ししいたけ、山椒、ゆずの皮などを入れると、味わいふくよかに。香りもぐんとよくなる。でも、これらはお好みでOK。あとから足してもいい。

忘れてならぬのは、ぬか床を入れる容れものだ。

2.ぬか床をつくる

 

準備した材料をボールでまぜあわせて、よーくこねてやる。味噌くらいのかたさになったらOK。できたぬか床をさっそく容器へ移してやる。

3.ぬか床を寝かす

 

ぬか床がぬか床たりうるためには、ぬか床内に微生物(乳酸菌、酵母菌、酪酸菌)がウヨウヨひしめいていなければならない。そうでないと、野菜を漬けてもうまくならないし、便通改善などの健康機能も期待できないのだ。

けれどもできたてほやほやのぬか床には、微生物はほとんどいない。そこで必要なのが、

  • ぬか床にクズ野菜を放りこんで、1週間程度寝かす。

という過程。クズ野菜は微生物の餌だ。こうすることで、米ぬかが発酵し、ぬか床の微生物が繁殖し、ぬか床はぬか床として一本立ちするのである。

これを「捨て漬け」と呼ぶ。

4.本漬け

 

捨て漬けでぬか床が十分に熟成したら、いよいよ本番だ。最初はオーソドックスなきゅうりや瓜、大根をおすすめしたい。すぐ漬かる。夏場なら6時間ほどで食べられる。

5.味わう

 

食する。うーん、美味である。心ゆくまで旬野菜の滋味を堪能しよう。

大根、人参、瓜のぬか漬け

6.毎日の手入れ

 

以降は毎日の手入れが欠かせない。ぬか床は生きものだ。かいがいしく世話を焼こう。すると深い愛着が湧いてくる。

 

ぬか漬けイラスト

 

ぬか床のぬかは栄養の宝庫だ。ビタミンやミネラルたっぷり。さらに微生物たちによる発酵の力が、野菜がもつ本来の滋味をめいっぱい引きだしてくれる。

ぬか漬けのある暮らしは、なにやら心の拠りどころができたようであり、思っていた以上に素敵なもンである。月並みだけれど、日本人でよがったわい、と心の底から感じることも少なくはない。

一丁やってみっか、と思ったら、次の記事「ぬか床の作り方」をどうぞ。
ぬか漬けセット記事へのリンク


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