熟成ぬか床をだれかか分けてもらったり、熟成ずみの乾燥ぬかを使ったりして新床をつくる場合をのぞき、新しいぬか床には熟成期間が必要となる。
クズ野菜を漬けて、乳酸菌や酵母、酪酸菌などの微生物を増やし、新床の発酵をうながすための時間だ。この間、ぬか床はぬかや昆布などのうまみも吸収していく。
これを「捨て漬け」という。
捨て漬けの方法
捨て漬けの期間は約1週間
この期間は朝晩の毎日2回、ぬか床をかきまぜる。捨て漬けした野菜は3~4日で引きあげて、新しいクズ野菜とチェンジ。このとき、古い野菜についているぬかはていねいにこぞぎとってぬか床へ戻し、野菜の汁もぎゅっと絞ってぬか床へ戻してやる。
捨て漬け向きの野菜
捨て漬けに使う野菜は、キャベツの外側の葉っぱや切れ端、大根の頭やしっぽ、皮、人参の皮などが望ましい。
小松菜やほうれん草、青梗菜、ピーマンなど、冷蔵庫の野菜室にあるものならたいてい使える。食べられる部分を使ってももちろんOK。しょっぱすぎて食べられなくなるだけ。
捨て漬けに不向きな野菜
捨て漬けに向かない野菜もある。
トマトやタマネギなどはそもそもぬか漬けに適さないからやめておこう。なすびはぬか漬けの代名詞だが、捨て漬けには不向きだ。あくが強いからである。
同様の理由で、春菊やニラ、じゃがいも、里芋、ごぼうなども捨て漬けに使うのはよしたほうがいい。
捨て漬けは2回でおしまい
捨て漬けを2回おこなったら、いよいよ本漬けだ。
ただし、覚えておきたいのは、新床が完全に熟成し、乳酸菌の密度がピークに達するまでには半年くらいかかるということ。それまで根気よく手入れし、ぬか床を育てていくのだ、という気構えが大切。
完全熟成したぬか床には、1gあたり10億個もの乳酸菌が棲むという。
冬場はぬか床づくりに適さない
寒い時期は、新床づくりに向かない。いくら捨て漬けをがんばっても、乳酸菌がなかなか増えていかないからだ。
ぬか床の発酵にちょうどいい温度は、20~25度。気温がそれ以上なら発酵期間は短くなるし、それ以下なら長くなる。
冬場にぬか床をはじめようというなら、熟成ぬか床をだれかから分けてもらうか、熟成ずみの市販ぬかを利用するのが得策である。
新床づくりは、春から秋がベストシーズンと心得たし。