毎日きちんと手入れしていても、ぬか床というやつはたまにへそを曲げやがる。
異臭を放つのである。ひとくちに異臭といっても、これがじつにいろいろ。
- アルコール臭
- 薬品臭
- シンナー臭
- お父さんの靴下のにおい
1や2の場合、空気を好む酵母が増殖して異常発酵を起こしていることが多い。3や4は、酪酸菌という、空気を嫌う微生物が増えすぎていて異常発酵を起こしている可能性大。
どっちも、ぬか床のかき混ぜを怠ったり、急に気温が上昇したりといったことが引き金となっている。健康を害するものではないが、ふたをとるたび妙なにおいが台所に充満するというのはいただけない。家族の視線が心なしか冷たい。肩身がせまい。
アルコール臭、薬品臭、シンナー臭、靴下臭をなくすには?
だから1日も早くなんとかしたい。
そのためには、
- ぬか床の細菌バランスを正常値へと引き戻す。
そのためには、
- とにかく毎日よくかきまぜる。
- 25度以上になる場所には置かない
これ以外にない。
目と舌と手を使って、ぬか床の不調を取り払うのである。おいしい漬け物が漬かっていたころの健康状態を思いだし、それを再現してやるのである。
ポイントは2つ。
- ベストな塩加減
- ベストなかたさ
水分量が多すぎるようなら、足しぬかをする。
やがて自然とにおいは消えていくはずだ。
それでもダメなら?
2~3日冷蔵庫に入れたり、いったん凍らせておいて自然解凍したりするといった手がある。冷やすことで、異臭が弱まることがあるのは、ぬか床愛好家たちのあいだではよく知られた話だ。発酵が急停止し、異臭のもとである酵母や酪酸菌の働きも弱まるからだ。
ほんのひと呼吸誤れば、たちまち救援シグナルを出すのがぬか床というもの。どう手入れすれば、危険を回避できるのか、これはもう、実地にあたって、自分なりに会得するよりほかに方法はない。