これからぬか漬けを始めてみよう、という人に向けて、まずは始め方のおおまかな流れを説明しよう。さらっと読むだけでOK。雰囲気をつかみ、モチベーションアップ。これならやれそうだ、やってみようかしらん、となったら、すぐにでも始めてみてほしい。
なにやら難しそう、と躊躇(ちゅうちょ)している方、じつはわたしもそうだったが、やってみるとことのほか簡単。しかも楽しいもンである。
1.準備
最初に絶対必要なのが、
- ぬか
- 昆布のだし汁(水と昆布でもOK)
- 塩
- 唐辛子
ここへ、かつお節やいりこ、干ししいたけ、山椒、ゆずの皮などを入れると、味わいふくよかに。香りもぐんとよくなる。でも、これらはお好みでOK。あとから足してもいい。
忘れてならぬのは、ぬか床を入れる容れものだ。
2.ぬか床をつくる
準備した材料をボールでまぜあわせて、よーくこねてやる。味噌くらいのかたさになったらOK。できたぬか床をさっそく容器へ移してやる。
3.ぬか床を寝かす
ぬか床がぬか床たりうるためには、ぬか床内に微生物(乳酸菌、酵母菌、酪酸菌)がウヨウヨひしめいていなければならない。そうでないと、野菜を漬けてもうまくならないし、便通改善などの健康機能も期待できないのだ。
けれどもできたてほやほやのぬか床には、微生物はほとんどいない。そこで必要なのが、
- ぬか床にクズ野菜を放りこんで、1週間程度寝かす。
という過程。クズ野菜は微生物の餌だ。こうすることで、米ぬかが発酵し、ぬか床の微生物が繁殖し、ぬか床はぬか床として一本立ちするのである。
これを「捨て漬け」と呼ぶ。
4.本漬け
捨て漬けでぬか床が十分に熟成したら、いよいよ本番だ。最初はオーソドックスなきゅうりや瓜、大根をおすすめしたい。すぐ漬かる。夏場なら6時間ほどで食べられる。
5.味わう
食する。うーん、美味である。心ゆくまで旬野菜の滋味を堪能しよう。
6.毎日の手入れ
以降は毎日の手入れが欠かせない。ぬか床は生きものだ。かいがいしく世話を焼こう。すると深い愛着が湧いてくる。
ぬか床のぬかは栄養の宝庫だ。ビタミンやミネラルたっぷり。さらに微生物たちによる発酵の力が、野菜がもつ本来の滋味をめいっぱい引きだしてくれる。
ぬか漬けのある暮らしは、なにやら心の拠りどころができたようであり、思っていた以上に素敵なもンである。月並みだけれど、日本人でよかったわい、と心の底から感じることも少なくはない。