野菜によって、漬ける前の下処理の仕方は異なる。下処理の方法は3つある。

  1. そのまま漬ける(切る、皮を剥く)
  2. 塩もみする。
  3. 下茹でする。

あくまでわが家の漬け方、わが家の漬け時間ではあるが、最もいいあんばいに浸かる方法をまとめた。

といっても、季節やその家々のぬか床の塩分濃度、発酵状態によって変わるものであるから、調節してほしい。

漬け時間の目安

  • 夏……やわらかい野菜:6時間~ かたい野菜:12時間~
  • 冬……やわらかい野菜:12時間~ かたい野菜:24時間~

1.そのまま漬けられる野菜

きゅうり

多くの野菜は下処理が不要。適当なサイズにカットし、へたやしっぽをとりのぞいて水洗いすればOK。早く漬けたいときは薄く切るか、塩でもんでからぬか床へ入れるといい。

塩もみしてから漬ける野菜

塩もみ

菜の花や茄子、ごぼうなど、アクやえぐみのある野菜は、塩でもんでから漬ける。そうすることで、アクやえぐみが減らせる。

塩もみには、水分を減らす目的もある。水気を多く含む葉野菜などは、そのままぬか床へ入れると水分が染みでて、ぬか床が水っぽくなる。塩もみ後、ていねいに絞って、水分を抜こう。

茹でてから漬ける野菜

茹でる

かたい野菜は、沸騰したお湯で下茹でしてから漬けよう。米のとぎ汁を使ってももいい。アクやえぐみも抜けて、一石二鳥である。

とぎ汁の代わりに、ぬか床のぬかを大さじ1~2杯ほど熱湯に入れる手もある。これも、アクとえぐみを減らせる。

茹ですぎに注意。ビタミンが壊れてしまう。竹串を刺したとき、芯にかたさが残る程度がベストだ。

なお、茹でたてをぬか床に投入するのはご法度。熱でぬか床の微生物がダメージを受ける。冷水で冷やしてから入れること。あら熱をとるくらいではダメ。しっかりと冷ます。

  • ごぼう(太め)
  • じゃがいも
  • 里芋(さといも)
  • 筍(たけのこ)
  • ブロッコリー
  • カリフラワー
  • アスパラガス(太)
  • 南瓜(かぼちゃ)
  • 蕗(ふき)

伝統食のすばらしさを再発見

伝統食のぬか漬け新鮮な野菜が手に入ったら、とりあえずつけてみると楽しい。われわれがご先祖から受け継いできた食文化の妙味を味わえる。

スローフードのある暮らしに慣れると、世界中どこへ行っても同じ味をマニュアルどおりのサービスで提供しようという、昨今の風潮に気持ち悪さを覚えることがある。

わが家にぬか床がやってきてからというもの、シンプルなこの伝統食の奥深さに毎日、恐れ入っている。

日本人にとって、ぬか漬けは単なるつけあわせ。めずらしくもなんともない。日ごろ、口の端にのぼることもほとんどない。

でもこれは、村一番の美女がハーレムのなかでは目立たなくなるのと同じことなのだ。